コラム1漢方医学の考え方

漢方医学では、病気を「心や体のバランスが乱れた状態」と捉え、患者さんの自覚症状に基づき、心身のバランスを整え、平素の状態に戻すための治療を行います。そのため、同じ病名であっても体質が異なれば違う漢方薬を用い、逆に、病名が違っても体質が同じであれば同じ漢方薬が使われることがあります。このように、個人の体質や自覚症状を重視するため、漢方医学はテーラーメイド医療を実践しているとも言えます。一方で、効果的な治療のためには、病態を正しく把握し、適した処方を選ぶことが非常に重要です。

コラム2「証(しょう)」

漢方医学では、患者さんの病態を「証(しょう)」と呼ばれる漢方医学的診断基準に当てはめて分類し、「証」に合った漢方薬を用いて治療を行います。

コラム3虚証と実証

「証」を見分ける要素の一つに「虚・実」の概念があります。漢方医学では、個人の体型、皮膚の色つや、食欲と消化吸収、体温調節と汗、活動性、声のハリと大きさ、血圧などの体質・体力から、弱々しい「虚証」タイプか、充実した「実証」タイプかを判断します。虚弱体質なイメージの「虚証」に対して、「実証」は体内に不要な毒素を溜めやすく、漢方医学では、「虚証」でも「実証」でもない「中間証(中庸)」を保つことが理想とされます。

コラム4体力適応度

これまでの研究では、体力は一般の方が自覚しやすく、かつ「証」の判定にも有効な指標であることが明らかにされています(合田幸広, 袴塚高志: 医薬品情報学, 11: 210-216, 2010)。
一般用漢方製剤の効能・効果には、「虚・実」の概念が主に体力に関する記述で表現され、一般の方が「虚証」と「実証」を判断し、体質に合った薬であるかを確認するための目安が示されています。本サイトでは、各処方の使用上の注意に体力適応度の表を記載しています。服用前のセルフチェックからご確認ください。

コラム5漢方薬の副作用

漢方薬は医薬品であるため、効果と同時に副作用が出ることもあります。使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しく服用することが重要です。服用中に違和感を感じたら、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。